前回は楽器のビリつき音のうち、故障が原因でない場合を述べました。思い当たる方はいらっしゃいましたか?
さて今回は故障によるビリつき音です。



接着面のはがれによるもの
弦楽器の接着はニカワでされており、ニカワが高温多湿に弱いことは、本冊子の第2号で述べたとおりです。
弦楽器は長く使用しているうちに、手の汗や空気中の湿気などの影響で、どうしても接着面がはがれてくる場合があります。
特にはがれやすいのは表板・裏板と側板の接着面です。なかでも、バイオリンなら、 上部右側の手が当たる部分と下部左側のあごや首が触れる付近がもっとも危険な箇所です。
表・裏板ほど多くはありませんが、バスバー、ネックの付け根と裏板との接着面、パフリング、指板などもはがれて雑音を生じる可能性のある箇所です。





ただ、はがれがあっても必ず雑音が生じるというわけではありません。 特に表・裏板のはがれなどの場合は楽器を弾いてビリつき音が生じることはあまり多くありません。
むしろ楽器自体の鳴りが悪くなって、おかしいと思って楽器を点検しているうちにはがれに気づく ことが多いようです。
表・裏板のはがれの点検の一つの方法として、表板裏板の周囲(側板との接着面の上にあたる部分)を、 指の背で叩いてみる(軽くノックするような具合)ことが有効です。叩いたときにピシピシというような音がしたら、 はがれがある可能性が高いです。
はがれは放っておくと広がってきますので、速やかな修理が必要です。

指板の不良によるもの
前号でも述べたように、指板は使用しているうちに弦が押しつけられる箇所が少しずつ掘れていって 溝になっていきます。これがあまり深くなると、振動した弦が溝の側面に当たるなどして雑音を生じます。 これは指板を削り直すことで解消できます。

安価な楽器に見られる雑音として、指板の調整不良というケースも挙げられます。