1955年にはジオ・バッタ・モラッシ、レナト・スクロラベッツァ。1961年にはフランチェスコ・ビ ソロッティが卒業しています。その後彼らが後進の指導にあたりました。 モラッシやビソロッティは今でも現役で仕事をしていますが、今ではその息子たちも第一線の製作家として頭角を現しています。 今回の旅行では幸いにもビソロッティの工房(bottega)を訪ねることができました。 イタリア語のbottegaという語は、「工房」と言う意味と同時に「商店」の意味も持っています。 しかしクレモナのbottegaは、一般的な店とはずいぶん趣が異なります。ショーウィンドーもなければ看板すら出していないところがほとんどだそうです。ビソロッティの工房にも看板は掛かっておらず、 外見からでは他の民家と全く区別が付きませんでした。 (註2)
しかし一歩ドアを入ると、そこはまさに別世界。 エントランスホールはビソロッティ自身の手になる見事な彫刻で飾られています(彼はバイオリン製作家になる前は家具作りの職人だったそうです)。 その奥にやや薄暗い作業場があり、作業台の上


には製作途中の表板やネックなどが無造作に置かれており、 壁には様々な工具が掛けられています。この部屋でフランチェスコ・ビソロッティと3人の息子たちが、 日々製作に励んでいるのです。
一番奥の明るく清潔な部屋は塗装室で、壁に渡されたワイヤーに数々の塗装中の楽器がかかっていました。 これらの楽器はやがて世界中に旅立って行くのでしょう。
クレモナでは現在80人もの弦楽器職人が働いていると言います。
職人の数が多くなれば、それだけ競争も厳しくなります。そうして互いにしのぎを削ることで、 また全体のレベルが向上していくのでしょう。
クレモナの楽器だけが良い楽器だというわけではもちろんありませんが、現在手工弦楽器製作の一つの中心が、 この町であることは間違いないでしょう。